アマルフィの恋物語・サンプル

7000文字相当分です。

 ここはイタリアのカンパニア州サレルノ県にある人口五千百人の世界有数のリゾート地。
 【アマルフィ】
 かの有名な海沿いの断崖に、カラフルな建物が重なるように立ち並ぶ世界遺産は、今でこそ人が賑わうもののそれでもローマなどに比べたら、ゆったり過ごせるのが特徴だ。
 アマルフィからバスで三十分、丘を登った高台にある町は、かつてワーグナーをはじめとして、数々の芸術家たちを魅了した。
 眺望が素晴らしいヴィラ・ルーフォロでは、真夏の期間限定で野外コンサートが繰り広げられ、かつては唯一の日本人女性ハープ奏者もこのアマルフィの野外コンサートで素敵な音色を奏でていた。
 十年前まではコンサート時期に合わせ、世界最大級の料理の祭典も行なわれていた。
 ホテルのバーでは自家製リモンチェッロも飲めるほどレモンは有名な特産物で、レモンを使ったレシピはこの地域では無くてはならないものだった。
 そして、アマルフィ海岸の美観を見渡すその町は、クラシックホテルに滞在するお客さまに、ひと時の幸せを提供することとなる。
その町の片隅にはいつもきれいなピアノの音が鳴り響く小さな一軒家のレストランがあった。オーナーシェフは三枝涼(さえぐさ りょう)。現在42歳。天才的な腕を持つ世界で三本の指に入る料理人の一人だ。
 これは、世界のてっぺんに登り詰めようとした三枝涼と、そんな涼をひたすらに愛し続けた雨宮悠の、愛の物語である。

 三枝の店は顔面偏差値が異様に高い。
 
 バリスタとしても一流のコック東雲 泰河《しののめ たいが》。丁寧な仕事をする若手ナンバー1。
 物腰柔らかな、伊達メガネの似合う雨宮 悠《あめみや ゆう》。彼にサーブされるワインは何倍もの味に変わるという。
 メインを飾るのは重低音の効いた尾てい骨直下の甘い声。コックコートの上からでもわかる隆起した筋肉。狙った獲物は逃がさない三枝 涼《さえぐさ りょう》。
 三枝たちは自分たちだけで切り盛り出来るちょっと小ぶりの店を見つけた。二十歳の頃にはこの世界の片隅に籍を置き、その二年後にはイタリア料理のトップに君臨していた。
「シェフ! 吉報です」
「んだよ」
「英国王室御用達に認定されました」
 泰河がバタバタと走り寄った。
「店内を走るなといつも言ってんだろーがよ」
「ムッシュも言葉遣いに気をつけて下さいといつも言ってます」
「うるせーな! 小姑か」
「小姑じゃありません。でもこれ、本当にすごい事ですよ。スウェーデンに次いで英国までシェフを認めたってことですもん」
「うるせー、大袈裟。興奮しすぎだ。泰河」
「だって、シェフの作るスフォリアテッラは本当に最高なんですから。全世界の人に食べてもらいたいくらいです」
「泰河は本当に涼が好きだなぁ」
 グラスを磨いていた悠は、その手を止めて泰河の頭をポンポンと撫でた。
「悠さんだって冷静な振りしちゃってますけど、心ここにあらずなのはバレてますからね」
「そんな事はないだろう」
 綺麗な声で優しそうに話す声が、悠お得意のハープの奏でる音の様だった。
「あーりーまーすー。ほらぁ、グラスが汚れてる。いつもの悠さんならこんな磨き残しになんかなりませんから。素直に嬉しいって認めたらどうですか」
 グラスの汚れを指摘された悠は、動揺して耳まで真っ赤になり、慌ててグラスを磨き直した。
「それより涼、久しぶりに孤児院に帰らないか。今回のことはエマのおかげでもあるんだから」
「ばばぁの? なんでばばぁのおかげなんだよ」

 今回御用達に選ばれたスフォリアテッラというお菓子は、そもそもアマルフィの修道院で作られたことが由来のお菓子だった。エマはその修道院の出で、その横に、小さな孤児院を建て、身寄りのない子供たちを集めて生活していた。好奇心旺盛な涼は、パイ菓子を得意とするエマに、小さなころから教わってはダメ出しを受け、負けず嫌いの性格から、何度も繰り返し作ってきた。

 悠は泰河に「君も行くかい」と声をかけてきた。
 泰河は嬉しそうに声を弾ませた。
「孤児院ってお二人が育った場所ですか? 僕、お邪魔するの初めてです。エマさんてどんな方ですか」
「デブのばばぁ」
「涼! エマに失礼でしょう。ごめんね。泰河。エマって言うのは僕たちのマンマみたいなものだよ。泰河も日本にお袋さんいるんだろう?」
「はい。もう何年も会ってませんけど、たまに手紙は来ます」
「お前、そう言えばなんで留学終わったのに帰んねぇーの?」
「え?」
 泰河は涼の予期せぬ言葉に詰まって、立ち尽くしてしまった。
 帰り支度をしながら、悠は唇の端をクィっと上げ、腹にグーパンを入れた。
「お前のところで働きたかったからだ、バカ」
「あー、悠さん。言っちゃだめってお願いしたじゃないですか」
「雇ってくれって、すごい勢いで俺のとこに日参してたじゃないか。あまりに真剣で、つい応援したくなった」
「あー、あのストーカーみたいなやつ泰河か」
 大好きな三枝の一言に、泰河はシュンとなってさっきまでの威勢の良さはどこかに消えていた。
「言い方だよ! 涼」
「悠さん。僕は大丈夫ですから」
「まぁ、役に立ってんし、何でもいいや。帰んぞ」
 三枝はどうでもいいとばかりに呑気に答えた。そんないつものスタイルに周りも自然となごんでいった。
「せっかくだから花でも買っていこう。今の季節は沈丁花が良い香りがするよ」
 ロッカーの中からジャケットを取り出すと、さっそうと羽織り、悠はテーブルの上の携帯をポケットに突っ込んだ。
「はぁ? 花なんか腹の足しにもならねぇだろ」
 ポーカーフェイスを貫く悠は、存外ロマンチストであった。
「いやいや、俺にとっては食えたら幸せだぞ。悠だって散々空腹を経験してきたんじゃないのか」
 そう言いながら悠の後を追った。
「俺は涼程に食うのに困ったことは無いよ。花は好きだなぁ。涼が食い気が旺盛なのはただの性格なんじゃないのか。優雅には程遠いもんな」
「ていうかお前さ、あんな風に突然天涯孤独になったのに、なんでそんな、なんつーの? 温和な性格してるかね」
「ん? 温和かなぁ。まぁ当時のことはあまり思い出したくない。でも、母さんのおかげでお金には困らなかったし、寝るところだって、チャリティーコンサートをやっていてくれたおかげで、修道院のお世話になれたから。世間が思っているよりも幸せなんじゃないか。美味しいものは好きだけど、音楽と花はもっと好きだ」
「お二人は何歳のころからお知り合いなんですか?」
 二人の間を泰河が割って入ってきた。
 涼と悠は顔を見合わせて、どちらともなく十歳だと言った。
「十歳ですか。もっと小さなころからだと思っていました」
 だんだんと声が小さくなっていく。緊張したり動揺したりするとどんどん小さくなる。泰河の癖だ。
 それなりの地位まで登りつめた二人にとって、過去のことは大したことではないのだろう。初めて聞いた生い立ちは、泰河にとっては想像以上であったが、当の本人たちにとっては、今日の朝ご飯の中身を話すくらいの気軽さだったように感じられた。
「俺は赤ん坊の頃、この修道院の前に捨てられていたらしい。ボロボロの薄汚れたタオルケットに包まれて、ある雪の降る朝のことだったって聞いたことがあるぞ。それでもタオルケットには雪が大して積もっていなかったってことから、修道院の朝の掃き掃除の日課の時間まで、きっと母親が抱いていたんだろう、と物心ついたころシスターが教えてくれた。でもな『あなたは愛されていたのよ』なんて言われたって、捨てられたことには変わんねぇよ。親の記憶すら持ってない。俺の母親はエマだけで、俺に父親はいない」
「涼って名前はどなたが?」
「赤ん坊の手に握らされていた紙に書いてあったらしい。もういいだろ。聞いただけで何一つ実感なんかねぇよ」
 思う出したいような楽しい記憶ではないのだと、泰河は理解した。
「嫌なら答えなくていいです。もう一つだけ。日本語がそんなに上手なのはなぜですか」
 こういうことはタイミングだ。いつでも聞ける内容ではない。
「あぁ、それな。修道院の中に居たんだよ。ルチアって洗礼名を持った日本人が。そのねぇちゃんはやたらに教えるのがうまくてな。で、君は日本人なんだから日本語は話せるほうが良いって言われて、今でも悠と話すときは日本語を使う」
 悠さんはいつからここに住んでいるんですか」
「母さんが病気で死んだのが十歳だったから、その時からだよ」
「なんで孤児院に?」
 ぶしつけな泰河の質問に、嫌な顔一つせず悠は淡々と答えた。
「だからチャリティーコンサートで来た事があるって言っただろう」
「どんなチャリティーコンサートですか」
「そのうち教えてやるよ。さぁ、花屋についた。買って帰るぞ」
 何となく流されたような気がしたが、これ以上聞けるような雰囲気でもなく、一瞬のうちに閉ざされた悠の心の壁に、泰河は聞くのを諦めた。
 久々の来訪に大喜びの孤児院の仲間たちは、涼お手製シチューを食べ、どんちゃん騒ぎをし、町の花屋から買い集めた沈丁花は、室内にこれでもかと甘い香りを漂わせていた。
 花言葉は『栄光・不滅』
 仲間の存在。それが二年後に起こる悲劇から、涼を支える力の礎となっていった。

 【中略】

 【羽柴戦開幕・運命の瞬間】
 幸せの思い出の夜からすでに二日が過ぎた。
 チュンチュンとなる鳥たちは空を自由に飛び回り、出場者たちは渾身の一皿を提供する為に、爪の先まで神経を張り巡らせた。
 ぞくぞくする高揚感に身を置く彼らは、何の音楽もないこの会場で、パートナーとの会話に耳を傾ける。
 番号順に料理を持っていく。
 人間の胃袋なんか限りがあるし、いくら全部食べないとはいえ、番号すら運を握っていると思わずにはいられない。
 どのシェフ達も最高の仕事をし、渾身の一皿に神経を注いだ。

 運命の瞬間だ。

 香り、見た目、誰が見てもアランの皿が頭一つ抜けていた。
 作った本人たちは実力の序列がわかるのだろう。ヴィンセントも唇を噛み悔しそうにしている。最高と最高の戦いはほんの小さな歪みが雌雄を決する。
 羽柴幸一の総評はかなりヴィンセントに有利にも見受けられたが、ペアの能力差がどうしても否めない。
 ラファエルは超一流なんだろう。そしてアランの料理をアラン以上に高めるのは、この男しかいない。ワインやグラスの選び方、温度、抜栓のタイミング、空気に触れさせるためのデキャンタ―ジュ。ワインを知り尽くし愛している者の所作だ。
 ただ、誰もが解せなかったのは、三枝の料理だ。
 蓋を開けてみれば二強の戦い。誰もがそう思った。そうアランたちでさえ……しかし本来三強の三つ巴だ、何か仕掛けでもあるのか。
 あの羽柴幸一をもってしても理解の範疇を超えた。
「全員の試食が終わりました」
 ざわめき立つ会場で三強は静かに時を待った。
「まず最初に今回のルールについて再度確認いたします」
 羽柴の秘書である佐伯が話し始めた。
「まず、題目は二つありました。つまり審査の対象が違ったのです」
 会場はどよめき立つ。
「お静かに願います」
 眼鏡の端をクイッと指の腹で上げる。まるで小さなころ読んだ、アルプスの少女ハイジに出てくる、ロッテンマイヤー夫人の様だ。
 ピリピリした空気が会場を包み込む。リストランテ・アッローロの二人を除き……。
「お題目の一つ目、それは『審査員が今まで食べた中で一番おいしかった思い出のシチューと飲み物』、これは審査する一人の人間の一存です。ですので情報は非公開とさせていただきました。つまりあなた方の作ったうちの一皿が別室に運ばれたのです。
 その審査員にとって唯一無二の人物が、彼を覚えているか。これは賭けでした」
 何を言われているか解らないと、ざわめきで会場は溢れていた。
「彼を覚えているか?」
「誰が誰を?」
「いつ……?」みんなの疑問には答えずルールは読み上げられていく。
「そしてお題目二つ目、『最高のシチューとそれに合わせた飲み物』。これは今皆様の前に居る審査員がそれぞれ十点の持ち点から点をつけ、合計得点で競うものです。情報非公開の者も当然題目二つ目としての持ち点もお持ちです。参加条件はプロであること・過去の祭典での資格剥奪等の有無は問わない。以上です。ではまず先に題目二つ目から優勝者の発表をさせていただきます」
「待てよ!」という面々を無視して、発表を続けようとする佐伯に、幸一がストップをかけた。
「佐伯、発表より前に、質問や意見を聞く時間を設けてはどうかな? 納得していない顔がその辺にゴロゴロしているよ」
 羽柴幸一の鶴の一声で質問が可能になった。
「質問を受けるとは誰がですか」
 口火を切ったのはラファエルだ。
「誰から誰でも構わんぞ!」
 なら、とラファエルは口を開いた。
「なぁ涼、お前が作ったあの出来損ないのシチューはなんだ?」
 三枝は不可解な顔をして、冷静に返答した。
「出来損ないとはずいぶんな言い草だな。最高のものを作ったつもりだぞ」
 と三枝は笑った。
 しかしラファエルは黙っていない。ガラスのように冷たい目が青白く光る。
「最高? 薄めた牛乳に、肉とは言えないようなチキンの切れ端、人参と少しの芋しか入ってない、フォンもとってない、玉ねぎの甘味すら引き出していないシチュー。俺達をバカにしてるのか?」
 口調はどんどんきつくなっていく。
「ばかに? まさか」
 三枝は手を大きく広げ、大仰に答えた。
「涼、てめぇ、真面目に答えろよ。アランがどれだけ本気だったと思う! ここにいる仲間がどれだけお前を待っていたと思ってんだ! 悠も悠だ! 水ってなんだよ。あんなシチューだから水にしたのか? しかもそれ、さっきそこで入れた水道水じゃねぇか! この辺りは硬水だ。日本の軟水とは違うんだぞ。カルシウムも多く入っているし飲み口だって重い。料理に合うわけねぇだろ! お前ならそんな事分かんだろ! 涼を止めることだって出来ただろう。何とか言えよ!」
 ヒートアップするラファエルを見かねてビアンカが声を描ける。
「ちょっと待って。ラファエル。私たち分っていないのではなくて」
「ビアンカ? 何をだ? 流石に俺もショックだぞ」
「ヴィニ―、たぶん根本が違うのよ」
「根本?」
 分らないと首を振り、ラファエルは悔しそうに目に涙を浮かべた。
「見返してやるはずだったんだ! 
 アマルフィの評議委員会のやつらを……三枝涼ってやつはすげぇんだって、そりゃ俺だって涼に負ける気はねぇけどよ、こんなん戦ってもいねぇじゃねぇか!」
「ラフ、それは違うよ。俺たちは戦った。俺たちの記憶とね」
 悠は笑った。
「悠、何を言ってんだよ。記憶と戦う? 意味が分からない……」
「ビアンカは気が付いたんじゃないのかい」
 悠の天使の微笑に、ビアンカは全てを理解し、得心した。
「今回は二つのお題は遠く離れてはいないと……私も含め多分皆さん思っていたのよ。何となくそう思ってしまっていたって言うのかしら。でも実は全く違ったの」
「分かってきた気がする」
 エンダーがオズワルドから飲み物を奪い取り、カラッカラの喉を潤しながら掠れた声で言った。
「そうか、三枝シェフと悠さんは別次元に居たってことですよね」
 エンダーは現時点、唯一理解しているであろうビアンカに同意を求めた。
 ビアンカは頷く。
 みんなの注目を浴びながら涼は話し始めた。
「俺たちは題目のままに作った迄さ。悠が水を、しかも水道水を出したのも、賭けをしたからだ。二つ目の題目を捨ててな」
「ん? ビアンカどういう意味だ」
 ヴィンセントは横に居るビアンカにそっと聞いた。
「つまりね、あの奥の部屋の人物は、この本選に残った二十人の中に、特別な思い入れのある人が、つまり、会いたい人がいたのでしょう。そして、この世界規模の料理の祭典を通じて、出来ればその人を救いたかった。さっきあそこの秘書さんが言っていたじゃない。彼にとって唯一無二の人が、彼を覚えているか。これは賭けでしたって」
「待ってくれよ。ビアンカ。そんなの会いたかったって言えば済む事……」
 ビアンカはヴィンセントの腕にそっと手を置いた。
「それができれば苦労はしないわ。ヴィニ―。好きだから一緒に居られる。そんな単純な話ではないでしょう」
 みんながビアンカに注目している。
「そして覚えていてもらえなかったのなら……お題目の一つ目は該当者なしになったのではないかしら」
「顔をさらさずにか?」
「恐らくね。人生をかけたのよ。思い出に」
「思い出の味ってやつにか? ただの記憶に?」
 皆はビアンカとヴィンセントのやり取りを黙って聞いている。
「C’est dingue《ありえない》!」
 最初に叫んだのはラファエルだった。
 アランはそんなラファエルの肩を抱く。
「そう。豪華な一品だと私たちは思いこんでいたわね。この賭けは奥のお部屋の人の勝ちではないかしら。恐らく……思い出してもらえたのだから」
「優勝者の発表宜しいでしょうか」
 佐伯が声をかける。
 繰り広げられていた会話は鳴りを潜め、辺りを静寂が支配した。
「二つ目のお題目、優勝者は、――――――――――

 ―――――――――――――中略―――――――――――――――――――

 三枝はゆっくり歩き402の前で、立ち止まった。インターホンを鳴らすことも考えたが、折角のマスターキー、チわない手は無いとカードキーを穴に差し込んだ。
 ガチャリとドアを回す。
 靖二は不意になったノブの音に、着替えの手を止めた。
「え? 何で……?」
「十五年ぶりか」
 扉を開けて目に入るその部屋は、さっきの部屋より幾分か小ぶりであったが、それでも三枝の見知っている部屋の何倍もあった。
 迷子の子猫は大きな目を見開いて三枝の言葉を聞いた。
「久しぶりだな。靖二」
 靖二がいなくなったあの日から、涼はこの日を夢見ていた。夢の中で笑う靖二はまだ十のままで、タイムマシンに乗って未来に来たみたいだ。三枝はドアにもたれかかり、喉をごくりと鳴らした。
 靖二はびっくりして思考回路が働かない。
「熱烈歓迎だな。随分大人になったもんだ。まだ外は明るいぜ」
 
 
―――――――――――――中略――――――――――――――――――――

 途中概要
 財閥の御曹司・靖二との再会に、三人の関係が動き始める。
 涼のことが大好きだと一歩も譲らない靖二に対し、自分の恋心をひた隠しにする悠。
 悠と離れる気はない癖に、愛しているとは気が付かない涼。
 自分に好意を寄せる靖二の想いをむげにできないまま、時は過ぎていく。

 出会ったころから、涼の夢はただ一つ。世界のてっぺんに立つこと。羽柴の財力なら涼の為になる、一介のサービスマンの自分に出来ることは、二人の仲を邪魔しないこと。羽柴誠二は絶対に必要だ。そう思った悠は、仲間に徹しようと覚悟を決めた。

 そんな中、悠の耳に靖二と涼の結婚話が舞い込んできた。
 幸せそうな二人を見て、激しい動揺が悠を襲う。
 ――こんなに動揺する予定ではなかった。
 ――こんな情弱な予定ではなかった。
 ――笑って見ていられるはずだった。
 抑えきれない想いに、リストランテ・アッローロを去ろうと単身ラファエルのもとに行く。
 大切な悠を傷つける三枝涼を許す事のできないラファエルは、それでも悠の想いに口を挟む事が出来ない。
 
 パイプオルガンの荘厳で清らかな音が教会中を包み込む。
 張り裂けそうな胸を押え、早く終わってくれと願う結婚式場で……悠を待ち受けていたものは。
 靖二に捨てられたひとりぼっちの涼だった。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――

「お前、何してんの?」

「羽柴継ぐんじゃねぇのかよ! てっぺん取んだろ、必要だろうが! 俺達の夢だ」
 悠は靖二を振り返り、懇願するようにひざまずいた。
「お前もお前だよ、靖二! 頼むよ。誤解なんだ。なぁ靖二なら分かるよね……。俺が涼を好きだからか? ならもうやめるから……想うこともやめるから……」

 さっきまで荘厳に鳴り響いていたパイプオルガンの音は鳴りを潜め、じっと悠を見守るかのように鎮座した。
 滝のように流れる悠の涙が呼び寄せる悲しみ、見守る仲間の心は、頑なな悠の心を溶かすことができるのだろうか。

 本編重要キャラ、小さな路地裏から始まった、アランとラファエルの恋を同時掲載。

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羽柴戦は本選を一部載せましたが、羽柴線二日前に悠の秘密が出ています。花とワインと料理と音楽に彩られたBL小説です。

私は悠が大好きなので、いつも幸せになってほしいと思っています。

お手に取っていただけたら嬉しいです。
 

この記事を書いた人
赤井ちひろ

5月24日生まれ
出身は箱学のある、神奈川県
弱虫ペダルで小野田坂道が落車した市民会館の前を通って、日々通学。
この頃から、きっと未来の荒北靖友推し【新荒】は決まっていたと思われる。
始めてBLに目覚めたのは、木原敏江先生のアンジェリク、この中に男色の公がいるのです。
木原先生の描かれる漫画では、断トツ、紫乃さんが好き。
未だに、紫乃様ティーシャツ探しています。
そしてツーリングエクスプレスにド嵌りしたのが、14歳。
今も勿論愛読しています。
学生時代は早弁を得意とし、美術室にこもる毎日。
玉川大学演劇専攻卒。
その間にアルバイトをしていたイタリアンが私のカメリエーレ生活の原点。
いまでも、イタリアンを専門に生きるBL作家☆彡
料理やワイン、サービスマンの絡む現代BLが日々のご馳走。
趣味・ロード【観戦】&洋南、箱推し・宝塚観劇【推しは高汐巴さん】・そして空気を吸うように、BLを日々過剰摂取しています。
SМ、拗らせ、純愛、調教、オメガバース大好きです。
ドエス甘々攻め×ツンデレ受けが人生のメインテーマ
読んでいただけたら嬉しいです

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